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執筆者の写真SIDE-B FILM staff

フィリピン アクランの手織り機とパイナップルの葉を使った伝統工芸 ピニャ織り



アクラン州(Aklan)は、フィリピンの西ビサヤ地方に位置する州で、

伝統的なピニャ織り(Piña weaving)が特に有名です。


ピニャ織りは、アバカやマニラ麻とともにフィリピンを代表する伝統織物のひとつであり、世界的にも高い評価を受けています。この織物は、パイナップルの葉から取れる繊維を使用して手作業で織り上げられるため、非常に繊細で高品質な製品が作られます。


ピニャ織りの特徴


1. 原材料


• 主にパイナップルの葉の繊維(「ピニャファイバー」と呼ばれる)を使用します。

特に「レッドスパニッシュパイナップル」という種類の葉が使用されることが多いです。


• 一部の製品ではシルクやアバカの繊維とブレンドすることもあります。


2. 製造工程


繊維抽出: パイナップルの葉を手作業で削り、細い繊維を抽出します。この作業は非常に手間がかかります。


洗浄・乾燥: 抽出した繊維を洗浄して不純物を取り除き、日光で乾燥させます。


糸作り: 繊維を繋げて糸にします。糸の均一性が最終製品の品質に影響します。


織り: 伝統的な手織り機(「ハバルハバル」)を使って生地を織り上げます。


装飾: 刺繍や染色を施して装飾を加える場合もあります。


3. 仕上がりの質感


• ピニャ織りは非常に薄くて軽く、半透明の質感が特徴です。


そのため、高級感があり、ドレスやシャツ(特にバロンタガログなどのフォーマルウェア)に使用されます。


アクラン州でのピニャ織りの重要性


伝統文化の一部

アクラン州、特に州都カリボ(Kalibo)はピニャ織りの中心地として知られています。この地域では何世代にもわたってピニャ織りの技術が受け継がれてきました。


経済的な役割

ピニャ織りは地域住民にとって重要な収入源となっています。特に女性がこの伝統工芸を担っており、家庭とコミュニティ経済に貢献しています。


観光資源

観光客向けにピニャ織り製品を販売したり、製造工程を見学するツアーが行われたりしています。


現代での利用と課題


現代の利用

高級な結婚式や公式行事の衣装に使用されるほか、ハンドバッグ、スカーフ、テーブルランナーなどのインテリア製品にも活用されています。


課題

伝統技術を維持しながら、次世代への継承や新たな市場への適応が課題です。また、製造工程が手間と時間を要するため、生産性の向上や材料コストの削減も求められています。


ピニャ織りはフィリピンの文化遺産の一部として、世界中から注目されています。


アクラン州を訪れる機会があれば、地元の職人たちの工房を見学し、その繊細な技術と情熱を体感することをおすすめします




アクラン州の伝統的なピニャ織り
アクラン州の伝統的なピニャ織り

アクラン州の伝統的なピニャ織りの習慣が、フィリピンの文化と伝統に関する情報提供と促進を目的として大切にされている毎年恒例の行事、国立文化芸術委員会 ( NCCA ) の 2025 年壁掛けカレンダーに掲載されています。


パイナップルの織物の手織りは、およそ 2 世紀の歴史があると推定され、現在ではビサヤ諸島のパナイ島北西部に住むアケアノン族によって、時代を経てもほとんど変わらない製法で行われています。パイナップルは、その優雅な美しさと手間のかかる製法から高く評価されており、テルノやバロン タガログなどのフォーマルな衣装や、装飾品、その他の品物の主要な素材として使用されています。


伝統的な職人技の典型であり、土着の美的感覚の表現であり、国の文化的指標であるこの建造物は、2023年12月5日にユネスコの無形文化遺産の代表的な一覧表に記載され、国と世界の文化の多様性と創造的表現を示す上での重要性が確認されました。


このカレンダーは、パイナップルの栽培と繊維の抽出から、手織り機を使った細い糸の織り、そしてコミュニティ内での知識と技術の伝承まで、織物を作るさまざまなステップと段階を、ジェラルド・マルクフレッド・ディレラ氏の写真と、ユネスコの推薦プロセスに関わり、カレンダーの構想とデザインも手掛けたジャーナリスト、文化研究者、出版デザイナーのロエル・ホアン・マニポン氏の文章で紹介しています。


NCCA は、このカレンダーが日付を覚えたり記録したりするツールとしてだけでなく、伝統的な織物やフィリピンの文化についてさらに学び、理解を深める手段としても役立つことを願っています。


ピニャ織り
Piña weaving

ピニャ織り
ピニャ織り

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